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ROUTE85

なんでもかんでも書いていく

意識高い風にサッカーを語る(代表編)

    先日のW杯最終予選、日本代表は久保の活躍で2連勝&首位浮上した。

    思えば久保という選手は若くして京都サンガでデビューした頃から周りとは違った空気を持っている選手だった。

    京都で燻っていた時、スイスへ移籍した時、五輪出場を目指して戦ったU-23代表の時、そしてベルギーからA代表に選出されての今。

    解説者のおじさん方が言うように、どんどん面構えがよくなっている。フットボールは顔でプレーするものではないが、やはり点を取りそうな選手、ゲームを動かすような選手というのは一味違う雰囲気を漂わせているものだ。

    本田、長友、岡崎、香川など、北京世代の所謂これまでの代表を支えてきた選手たちが所属クラブで微妙な立ち位置に立たされる中、ドイツでプレーする原口や大迫、そしてベルギーの久保などロンドン〜リオ世代が台頭してきたことは実に喜ばしいことで、それはかつて本田圭佑中村俊輔をベンチに追いやった時と同じく、日本代表への期待感を煽る。

    ただ世界的に見て彼らはもう若手と呼ばれるほどは若くない。23歳をつかまえて若くない、というと自分でも不思議な気分だが実際にヨーロッパのトップリーグでは次々と若く才気あふれる才能がその芽を出している。ただその中で生き残り真のワールドクラスや名プレーヤーとして名を残すのが、ほんの一握りであることは歴史が証明するところにより明らかだ。彼らには着実に成長し叶うことならトップのクラブで活躍してもらいたい。

    国内に目を向ければ、鹿島のセンターバックコンビ昌子と植田辺りはプレミアで居場所を掴んだ吉田の相棒として、不安定な森重の替わりを狙えるだろう。植田はまだまだ向上の余地が多いが。

    更に未だ見つからない代表のキャプテン長谷部の後継者として、ガンバの井手口などにも注目している。彼らがヨーロッパへと渡るのか、それとも遠藤保仁今野泰幸のように国内でその牙を磨き続けるのかはわからないが、その成長は非常に楽しみである。

 

    中堅の世代である酒井宏樹酒井高徳、山口蛍らの代表に於ける不安定さは少しばかり残念だ。特に前者2名はそれぞれマルセイユHSVという名門で確固たる地位を得ながらもその経験を代表には還元しきれていない。今後の更なる貢献に期待したい。

    共に海外から古巣に舞い戻った形であるセレッソの山口蛍と清武弘嗣はリーグで違いを見せることができていない。復帰したばかりの清武は怪我での欠場が多くまだコンディションが整っていないのかもしれないが、山口は昨年のJ2でもどこかフラフラとしていて凡庸な出来に終始していた。柿谷や杉本にも言えることからセレッソというクラブそのものの問題なのかもしれないが。

 

    追われる者たちの話をしよう。我々が日本のフットボールの歴史を語る時、つまり不世出のストライカー釜本邦茂や伝説のキャプテン八重樫茂生、東洋のコンピューター奥寺康彦、近年ではヨーロッパへの道を拓いた中田英寿や未だ現役を続ける“キング”カズなどの英雄たちとその戦いを語る時の話だ。

    ユルゲン・クロップという師のもとドイツを制しイングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドでもプレーした香川真司中村俊輔という左脚に魔法を宿した英雄を越えて代表の中心に座り凋落の最中ではあったがイタリアの名門ACミランで10番を背負った本田圭佑、これもまた名門インテルで小柄ながら豊富な運動量でサイドを疾駆した長友佑都、当たりが激しくファウルの基準も他とは違うプレミアリーグで「奇跡」と呼ばれた優勝を成し遂げたチームの一員であった岡崎慎司らのヨーロッパとアジアを舞台にした冒険は先人たちの話かそれ以上に我々を熱くさせるだろう。

    香川、本田らのビッグクラブでの挑戦は必ずしも成功ではなかったが、日本人がそこへ挑む権利を得ただけで胸が躍った。それほどに彼らは高い頂きを目指したのである。それだけで充分な実績といえるだろう。

 

ーー現在の代表チームに彼らの力が必要であるか否か?

    この問いに私ははっきりと「イエス」と答える。なぜなら彼らがこれまでに積み上げた経験は得難く、他の選手にはないものである。そこで磨かれてきた勝負の勘所を見分ける術もまた同じだ。だが一つ注意しなければならない。経験を活かすことも勝負勘を発揮するのも、やはり試合に出続けなければならない。本田や長友は夏には出場機会のあるチームに移るべきだろう。

    27歳の香川にはまだ少し時間があるかもしれないが30歳を過ぎた面々にはそろそろプレーヤーとしての刻限が迫っている。Jリーグに帰還し、ピッチの中でその経験を余すことなく伝えるのか、北米や他のアジアの国々へと新たな冒険へ出るのか、それとも欧州でキャリアを終えるのか。その選択は自由だ。彼らが輝ける居場所を見つけられることを願ってやまない。

 

    国を代表し胸に日の丸をつけて戦うことは誇りであると共に大いなる責任を負うことでもある。私は代表に選出されるすべての選手を尊敬する。彼らのポジショニングひとつ、その脚のひと振りが我々を一喜一憂させ甘美な勝利と深い絶望をもたらす。

    芝生の上で彼らが紡ぐ物語が今日も明日も、そして遠い未来にも日本中を興奮させフットボールの悲喜こもごもをもたらす幸福を噛み締めて私は青いユニフォームを見つめ続ける。